南国の隅っこ(旧)

元はてなダイアリーだった記事です。引っ越したのでデザインとか無視ですが、読めるだけでも……。

キッコウリュウ、原因は虫でした

 一週間前、ダメになってきて買ったお店に相談したら衝撃的な管理方法を教えられたメキシコキッコウリュウ。一度は言われたように頭からざぶざぶと水をかけてみたけど、空洞に水が溜まるのはやっぱり気になるので、鉢ごとひっくり返して水を流したりして。葉っぱには霧吹きで水をかけたりしてたけど、イモにも元気な部分にはちょっと霧吹きかけたりしたけど……。
 葉っぱはどんどん黒く丸まって落ちていくので、もうつるごとばっさり。だって、水不足なんだったら、無駄な蒸散なんかさせないほうがいいでしょ?


 というわけで、その後の顛末記ですが、長い上に写真はなしなので、お暇なかただけどーぞ。


 それ以上悪化する様子もないけど、よくもなってないキッコウリュウ、どうしようかと思いながら、昨日(土)もう一度お店に行ってみた。そしたらお姉さんが一人しかいなくて、ああこないだのあの植物ね、どうなりました、と言うので、いや変わらないんだけど詳しい人が来るとかって言ってたのは?と訊くと、明日ならいますとのこと。で、水やってくださいね、上からじゃんじゃんかけてね、と言う。いやあのね、かけたら腐るでしょ? ともう一度言ってみたけど、腐らないですよ〜〜、とお姉さん。ほんまかいな。
 とにかく今日(日)の午前中買い物を済ませ、お店はそのスーパーのすぐ近くなのでとりあえず行ってみたら、こないだのおばさんがふたり。詳しい人来るって言ってたけどいますかと訊くといると言う。じゃあ今すぐ植物持って戻ってきます、と伝えて、帰って買い物の荷物を大急ぎで片付け、キッコウリュウを持ってお店に戻った!
 が、入れ違いでその人は呼び出されてどこぞに行ってしまったと言う。うーん、しょうがないなあ、とひとりだけになっていたおばさんとおしゃべりしながら待つこと半時間。そのあいだに、


私:「うち、200以上の多肉とサボテンあるから、水遣りは控えめにしないと腐るってのはわかってるんだけど」
店のおばさん:「でもこれ、多肉じゃないから」
私:「でもこれ、ほら、この根っこのところが太くなって塊根植物でしょ」
店のおばさん:「うん、でもこれは多肉じゃないし」
私:「アデニウムって知ってます? あれも根っこが太くなってる塊根植物でしょ。あれの隣に置いて、同じように控えめな水遣りして、アデニウムは元気で花もいっぱい咲いたんですよ」
店のおばさん:「あー、アデニウムね、あれは水が少ししか要らない植物だけど、これはたくさん必要だから」


 という感じで話が噛みあわない。まあ前に仕入れたドイツ語の多肉本を見ていても、コーデックス植物は成長期には毎日でも水が必要な場合もあるって書いてあったしなあ、しかしそれでこんなに急激に枯れるのは納得いかない、と思いつつ、店の庭を見て回ったりして、他のキッコウリュウ二鉢も見た、けど……正直あんまりいい状態とは思えない。イモは普通だけど、茂ってる葉っぱはしおしおと言うか半分枯れてますけど? それに前に来たときは立派だったザミアも枯れてるし。ここの人、あんまり管理うまくない気がする……。


 痺れを切らしたダンナがフラッペを買いに行っちゃったから、半時間以上だったかもしれないが、とにかく「詳しい人」が来た。20代の兄ちゃんだが、私のキッコウリュウを見て、「これ、日向の植物だよ?」と言う。もちろんがんがん直射日光のところに置いてましたよ。具合悪くなってからはポーチの日陰に置いてたけど。
 そしたら、ひび割れのところを見て、パリン、と亀甲を一個外してしまった。その下は……腐ってました。兄ちゃんが、ほら、と指で押さえると水がじくじくとにじみ出てくる。少しだけどね。
 で、一週間前にここで言われた、上から水ぶっかけろを実践したことを言ったら、


兄ちゃん「いや、イモには水かけちゃダメだけど」


 ほらーーーーーーーッ!
 で、水不足だから毎日かけろって言われたんだけど。


兄ちゃん「いや、せいぜい週に一回くらいが適量」


 ほっらーーーーーーーーーーーーーーーッ!


 そうだよねそうだよね、日本とそこまで管理方法が変わるなんておかしいと思ったんだ。
 そのときその場に、おばさん一人しかいなかったのが残念です。聞いたか? うりゃっ、しっかり聞いたか!???


 で、兄ちゃん、どのくらいやられてるかによるけど、まだ間に合うかも、と言って、亀甲をパリンパリンと最終的には4つ外し、大事に部品を横に置いて、黄色い粉をパッパとふりかけ、さらに緑色の魔法の粉をパッパとふりかけ、オイルみたいなものをイモの周囲に流し込み、バケツに水を汲んできて粉をかけたあたりにザバザバとかけて、空洞になっていたところにぐりぐりと指を突っ込んで、腐った部分をかき出しはじめた。
 いやあ、出るわ出るわ。これ、本当にまだ救命の余地あるの?ってくらい(と言ってもイモの全体の10分の1にもならなかったと思うけど……)ぐりぐりとえぐられていきました。
 その作業をしながら、水のやりすぎは(少なくともうちに来てからひび割れが始まるまでは)なかったこと、買ったときはゼロだった葉がよく茂っていたこと、でも急にこんなふうになった原因は? 一度夜中の雨に濡れたから? 兄ちゃんは、うーん、雨は原因じゃないと思うけど、そのときカビが入り込んだとか、虫が穴開けてそこに水がたまったとか、という。そう言えば買ったときものすごい量のアリが出てきたけど……なんて話をしながら、ぐりぐりとやっていくと……とうとう底まで到達して、そこに指一本通るほどの穴がポコッと現れ、土に貫通。
 それを見た兄ちゃん、


「あー、これは虫だわ。Gallina ciega(盲の雌鳥)っていう虫に喰われたんだ」


 兄ちゃんも詳しくこの虫のライフサイクルなどを説明してくれたけど、帰ってから調べると、Phyllophaga (Phyllo=植物、Phaga=喰う)という、いかにも植物喰いまっせ〜〜!という感じの属名の甲虫類の幼虫でした。画像検索すると、カブトムシの幼虫みたいなのがゴロゴロと……うわあああああ。



 日本語では北米産コガネという名前で昆虫愛好家にネット販売しているところもあるようだけど、本来は日本にはいないものの様子。北米産だもんなあ……。そりゃあメキシコは北米だが、私が住んでいる南部は中米なのに……なんてことを恨んでみても仕方がない。


 要するに、お店で害虫駆除の処理をしていなかったということらしい。えーと、つまりうちの他の鉢にもこのおっそろしい虫が感染したかもしれないの? 大事なアデちゃん(アデニウム)、ずっとすぐ隣に置いてたんですけど?
 と言うと、兄ちゃん、あーアデニウムにはめったにつかないから大丈夫、という。でも他にもいっぱい鉢あるけど、というと、まあ一度駆虫しておいたほうがいいかもね、とのこと。そりゃあさ、他にもカイガラムシだの何だの、いるけどね。これまでカメンコとワンコのために薬品は使わず使わず、手動で駆除してきたんだけどね。


 しかしまあ、そうも言ってられないので、とりあえず明日来てもらうことにしました。たぶん兄ちゃんたちも、どんな庭なのかぜんぜん想像できてないと思うので、来てもらって、どういう方法を使うか相談することに。一応犬がいて、特にカメがいて植物はその餌にもしているのであまり薬品はつけたくないことは伝えておいたし。鉢の根元に薬を流し込むだけだったら、まあたぶん大丈夫だし、そういうことなら毒性の強い何とかって薬はやめて、もっと有機性の薬品もあります、とのこと。
 どうなるか、とにかく明日を待ってみます。


 で、キッコウリュウのほうは、やっと安心して任せられる兄ちゃんに出会えたので、治せるかどうかやってもらうことに。一ヶ月か二ヶ月で、腐敗を止められたら開いた穴に充填材?を詰めて、外した亀甲を貼り付けて、元通りにできると思う、とのこと。でもきっとそこだけ成長しなくなったりするよね……。まあ仕方ない、とにかく生き延びてくれさえすれば……!
 んで、何だか不思議なんだけど、うちのキッコウリュウを預けているあいだ、別のキッコウリュウをお貸ししますって言うんだわ。は? いやいや、私がほしいのはこのキッコウリュウだから、治るまで待ちますって。もし治りきらなくて死んじゃってもそれは仕方ないけど。
 なんかこのあたりの会話から、この店の人たちはうちに綺麗に整備されて芝とか石とか配置された庭があって、その真ん中にこのキッコウリュウをオブジェのように置いていた、とか思ってるんだろうか? という気が……。兄ちゃん、明日来てびっくりしないでくれよ?w


 ただ、今日の午後はメキシコ人夫婦の友人に誘われて海辺のレストランに食事に行き、そこでこの話をしたんだけど、それを聞いたおばさん、「じゃあそのお店で取り替えてもらいなさいよ!」と言ってた。やっぱり同じ発想か……。いや、そういう問題じゃないんだけど、まあこのおばさんはキッコウリュウを実際に見てないので、他の鉢と言っても、どれだけ違うかわからないんだろうな……。
 ちなみに、お店で他のキッコウリュウが毎日上から水を浴びていると聞いた兄ちゃん、私のキッコウリュウに粉を振りかけて処置をしながら、アシスタントの男の子に他の鉢も持ってこーい、と言ってました。そして、緑の粉を振りかけて亀甲の隙間にぐりぐりと塗りこんでいたw こいつらも腐ってしまうかも、とか思ったんだろうな、きっと。あとで、この店のおばさんお姉さんたちに、しっかりお灸をすえておいてくれると嬉しいです。