南国の隅っこ(旧)

元はてなダイアリーだった記事です。引っ越したのでデザインとか無視ですが、読めるだけでも……。

もう一冊のヤマガメ本メモ

 薄いほうのヤマガメ本は読んだけど、もう一冊あるんだよなー。ついでだからざっと目を通しておくか。


 これはアメリカヤマガメRhinoclemmysじゃなくて、ホントの?ヤマガメ属Geoemydaに属する3種(今は2種みたいだけど)について。
G. spengleri スペングラーヤマガメ(一番記述多し)
G. japonica リュウキュウヤマガメ
G. silvatica ケララヤマガメ(現在はVijayachelys silvaticaみたい)


 19ページの系統図を見ると、ミゾヤマガメとは同じイシガメ科とはいっても大きなファミリーだし、近いような遠いような微妙な距離。まあこの本自体が2005年、9年前の出版で、古くなってるところもあるようだけど。
 でも陸棲傾向の強い、森林・湿地帯に棲む雑食性のカメという点では似たところもあるのかな。というわけでも、主に生態や行動についての部分を拾い読み。しかし系統分類や形態についての記述がかなり多い。


 スペングラーの生息地は標高がそれなりに高くて、気温も冬の夜には0度近くなり、冬眠するタイプだとか(49p)。とすると、ミゾとはだいぶ違うな。
 60ページからやっと、テラリウムの構成について。壁をのぼるのが得意なので要注意とある(61p)。ミゾオも登ってたなあ。
 個別飼育のテラリウムは100×50×50cmとか(61p)、温度は夜間20度、日中は25度、湿度は冬90〜95%、夏60〜70%(63p)。植物をたっぷり入れて、水飲み場、体が浸かる程度の水皿など。


 スペングラーはほとんど泳がない(ミゾとは違うね)。メスは長時間水に浸かり、夜を水の中で過ごすことも(67p、ミゾはオスのミゾッコも水の中でよく寝てる)。水撒きをすると、落ち葉に溜まった水を飲む(68p、これはミゾもやる)。
 スペングラーは昆虫を狙って捕まえ食べる(69p、すごー)。自分がすでに獲物を口にくわえていても、別の個体が同じ獲物を持っているのを見るとほしくなるタイプw で、口を開けて相手のを奪おうとして自分のを失うという、イソップみたいなことになるらしいwww
 水中の獲物を拾い上げることはできない(70〜71p)。ミゾはできるな。


 著者はオスメスを別々に飼育。メスは個別に、オスはまとめて大きなテラリウムで。昨日読んだアカスジヤマガメとは逆だね。でもオスメスを普段から一緒にしていると、絶え間ない求愛がメスのストレスになる、ってのは同じ。うーむ、ミゾッチ、大丈夫かな。ミゾオはそんなにしつこくないほうだと思うけど(ミゾッコに比べて)。著者は、年に2回、繁殖シーズンにオスをメスのところに入れ、交尾行動が完了するとまたオスを戻す、という方法。これもアカスジではオスのテリトリーにメスを入れるべしとあったのと逆。
 スペングラーは攻撃性は低く、オス同士でも喧嘩になることはほとんどない。メスは産卵時期には少し怒りっぽくなるが、お互いに威嚇するだけで実際の攻撃に移ることはまれとか(以上74p)。


 食については、スペングラーはかなりの肉食派、でも果物も(うんと熟していれば)食べるけど、という程度の雑食だとか。そこはミゾたちとはずいぶん違うね。
 それから77〜85ページにわたって、スペングラーの高度な視覚と嗅覚について詳しく書いてある。面白そうだけど、ちょっと今はパス。


 交配のときのオスとメスの出会わせ方について(86p〜)。自然界における交尾前のオスメスの行動についてはデータなし。飼育下では、10月か11月にオスとメスを一緒にしてみる。すぐにオスは求愛、メスがそれを拒むようなら引き離して14日後に再挑戦、メスが受け入れるようになるまで、あるいはオスが気に入らないのかもだから別の個体と会わせてみるとか。
 メスが拒絶したあともオスをそのまま同じテラリウムに入れておくと、交尾を行う場合もあるが、それはいわゆる「強姦」であるそうな。逃げ場のないメスにとってはかなりのストレスになるので、一緒にするときは必ず見守ること推奨。
 メスがその気であれば、コトはスムーズに行くらしい。と言ってももちろん手順を踏んで、だけど。その辺も詳しく書いてあるけど、ミゾとどのくらい共通するのかわからないので、割愛。
 スペングラーのメスは一度の交尾でそのシーズンに産む卵すべて受精させることができるらしい。ただし、他のカメや爬虫類にあるように、精子を貯蔵して翌年や数年後も有精卵を産めるかどうかは未確認とのこと。
 産卵間近になったメスは拒食、産卵場所を探しての徘徊、体重増加(10〜20g)、同種個体への攻撃性、さらには、腹甲の下のほう(下半身)が膨らんでくる!? ま、まあ妊婦なんだから当然か!? (90p)
 産卵はたいていの場合夕方、暗くなってから。産んだかどうかはメスの体重を量ればわかる。10g減ってたら卵1個産んだくらい。で、1個か2個産んで、30〜50日後にまた1個か2個。
 卵詰まりは14日以上の拒食と産卵行動、それでも産まない場合、獣医でレントゲン。
 自然界でも埋まってない卵を見つけることはあるので、飼育下でしっかり土に埋めない卵があっても普通のことかも、とか(93p)。
 このあと、卵の孵化までの世話と生まれたてのベビーの飼い方など。


 それからリュウキュウヤマガメケララヤマガメについてそれぞれ、ざっと特徴や生活圏についてなど。けどまあまたそのうち必要になったら読みます。