南国の隅っこ(旧)

元はてなダイアリーだった記事です。引っ越したのでデザインとか無視ですが、読めるだけでも……。

日本で出会った秋田犬の話

 どのくらい続くかわからないけど、思いつくままに、昔飼った動物や出会った動物の話をつづっていきます。犬猫鳥に爬虫類その他ね。


 今日はリチャード・ギアのハチ公映画、ダンナが見たいと言うので何度目かの鑑賞。そう、うちにはDVDがあるのだw 公開当時、映画館で見て、そのころは前のワンコがまだ元気で、でももう高齢で(10歳くらいだったかな?)、別れはそのうちやってくるよねと思っていたころだったから、効いた効いた。
 そのあとレンタルビデオで出回っているのを見つけたダンナがもう一度見たいと言って見て、そのあとメキシコシティでDVD安くていろいろ売ってるのを見つけたとき、これもあったんで購入し……。テレビでもやってるのをふと見かけて最後まで見ちゃったり。このころには今のワンコがすでに来ていて、秋田犬の仔犬ってものの記憶がまだ新しかったので、映画冒頭に出てくる仔犬、ぜんぜん秋田犬とちゃうやん! てな発見したりw
 で、今日はもう何度目よ? 私は途中で退席しましたね、リチャード・ギアが死んでお葬式のあたりで。だって、泣くと疲れるんだもん。


 まあうちのワンコ(前のも)、この映画以来秋田犬も少し知名度が上がって、散歩してると「ハチだ〜」とか言われることも増えたけど、よく同じ犬種って認識できるなーとちょっと感心するくらい、やっぱり日本の秋田犬とアメリカンアキタは違うよね。
 アメリカンアキタは今は(2000年からだったと思う)グレートジャパニーズドッグとかって名前になってるらしいけど、いかにもアメリカンな頭の悪そうな(失礼)名前なので、あまり使いたくない。前のワンコはぎりぎり1999年生まれだったので、アメリカンアキタでいいよねと言ってたけど、結局今のワンコも訊かれればアキタと答えてます。

日本で、近所に飼われてた血統書付き秋田犬

 私はなぜだかわからないけど、子供のころから日本犬の姿かたちが好きで、しかも大型犬にあこがれていたので、秋田犬は夢だった。まあ、狭いうちで秋田犬なんか飼えないから、小学4年生からやっと念願のマイドッグ、隣の家で産まれた紀州犬を飼って満足してはいたけど。
 その紀州犬、父親がけっこうばっちりしつけたので、散歩もノーリードにしていることがよくあった(40年くらい前の話、しかも田舎だから、ノーリードけしからん!みたいな風潮はなかったしね)。近くに河があって、泳げて、犬を連れてよく遊びに行ってた。その堤防でときどき出会う秋田犬がいたんだけど。
 その秋田犬の散歩の仕方というのが、お母さんと娘さんふたりがかりで、リードをそれぞれ腰に結びつけて犬に引っ張られながらやっとこさ歩いている、というもの。そんなところにうちの紀州犬が(オスだったし、自分より小さい犬にはご飯横取りされても何も言えないくせに、自分より大きい犬には挑んでいくやつだった)ノーリードで走っていたりしたら、今ならものすごくわかるw、大迷惑。んで、「そっちの犬、つないでくださぁい!」って叫ばれて、あーはいはい、って呼び戻してつないだりした。


 今のワンコは体重40kg超えだけど、引っ張らない子なので散歩のとき私がリード持ってても問題ない。前のワンコは体重28kgで秋田犬としては小柄なほうだったけど、その分? 気性がけっこう激しくて、興奮すると見境なくなるところがあったので、油断がならず、常に緊張して周囲に目を配っての散歩だった。
 だから、前のワンコの散歩でよその犬がリードなしで寄ってきたり(それもたいてい激しく吠えついてきたり)すると大迷惑だったからねえ。あのころのあの秋田犬の飼い主さんもそんな気分だったんだろうなあ。


 だけど、それってしつけの問題だよね? と思ったのも事実。あんなでかい犬なのに、しつけられてないのか……とちょっと不審に思った。それってものすごく問題なんでは……?
 そのおうちは、私(当時中学生だったかな?)がいつも自転車で家から駅まで通る途中にあって、近所付き合いするほど近くはないが、いろいろと噂は届いてくる(田舎だしw)くらいの距離。で、その秋田犬はドッグショーでチャンピオンになった何とかっていう父親犬と何とかっていう母親犬から生まれた由緒正しき秋田犬で、もちろん当犬も血統書付きで、ものすごくお高かったんですって、みたいな話は耳にしてた。
 本当なら、憧れの秋田犬だし、ちょっと撫でさせてもらいたいなーという気持ちもあったけど、犬の散歩でそういう出会いかたしてるから、何となくそんな雰囲気でもなくて、横目で眺めながら通り過ぎているばかりだったんだけど。


 ある日、チャンスが到来した。学校からの帰り、駅から自転車こいでその家の前に差し掛かると、その家のお母さんと娘さん、それに近所の奥さんや子供たちが道でわあわあと騒いでいる。その真ん中にいるのは、あの秋田犬。はしゃいで飛び回って、周囲の人たちにじゃれついている感じ。近所の人たちはキャーキャー言って逃げ回ってて、お母さんと娘さんは捕まえようとしてるんだけど、ワンコのほうがすばやくてぜんぜん捕まらない。
 でもそれを見て、即チャンスと思ったわけではないのです。この家族には(迷惑な紀州犬の飼い主として)あんまり関わらないほうがいいとわかっていたので、できるだけさりげなく自転車で通り抜けようとしたんだけどね。まあ無理難題ですわな、7,8人とでっかいワンコが右往左往してる狭い道を走りぬけるなんて。
 んで、結局進行を邪魔される感じで自転車を止めるはめになり、そこに秋田犬が、誰この人〜? みたいに寄ってきた。これはチャンス到来でしょ? もちろん私は、そのもっふもふの頭を撫でましたよ。そしたら、ワンコ、なんかおとなしくなった。じっと立って撫でられてる。よーしよし、もっふもっふもっふ。頭から首筋まで撫で放題。
 それを見たお母さんが娘さんに、「早く! 紐持ってきて!」と言い、娘さんが家に駆けこんでリードを持ってきて(首輪もしてなかった気がするから首輪も持ってきたんだっけな?)、私におとなしく撫でられている秋田犬をお縄に。一件落着。


 なんか、別にお礼も言われなかったし、こっちもちょっと目礼しただけでその場から立ち去ったけど、秋田犬もふれただけで儲けもんだったなー、と内心は思ってましたけどねw
 でもその秋田犬、それから間もなく、「手に負えない」という理由で保健所行き、という噂に愕然。マジかい。チャンピオン秋田犬の血を引く、立派な血統書付きの犬でしょ? お高かったんでしょ? そんな高価なものでもあっさり廃棄処分にできるお金持ちだったのかねえ? そんなすごい豪邸ってわけでもなかったけど……。
 いや、もちろんそのご家族としては悩んで苦渋して、の結論だったのかもしれないけど。今なら犬のしつけ教室とかいろいろあるかもしれないけど、当時はそんなものなかったのかもしれないし(よく知らない)。噂は噂だから、保健所じゃなくて、ちゃんとしつけてちゃんと飼える人に譲ったのかもしれない。
 ただ、その家から秋田犬がいなくなったことは確かだったな……。


 私がもふもふしたころで一歳くらいだったと思う。すでに体は大きく、でもまだまだ遊びたい盛りだったんだろうなあ。リチャード・ギアの映画に出てくるような、立派な日本の秋田犬でした。もったいない、なんてもったいない。


 ということがあったので、それからずっと、秋田犬はでかくてしつけが大変、というのが脳にこびりついていた。それから何十年か経って、我が家で秋田犬を飼うとなったとき、だからものすごーーーく構えちゃったんだよねえ。まあ実際、そのワンコ(前のアキタ)は大変な子だったけど。その話もまたそのうちゆっくりと。
 もう一頭、メキシコで知り合った立派な秋田犬(アメリカンじゃない)の話も書こうと思ったんだけど、意外と長くなっちゃったから、また今度。


 文章だけではアレなんで、うちのワンコ(今の)の写真を最後に。

CIMG5729

(ぜんぜんしつけが大変じゃなかった秋田犬)