南国の隅っこ(旧)

元はてなダイアリーだった記事です。引っ越したのでデザインとか無視ですが、読めるだけでも……。

ニャンリンの郷愁(2)

 昨日の続きですが。


 その前に。今朝もまたまた同じチョンボ、やらかしたのはダンナ。朝のワンコ散歩から帰宅したダンナはソファに寝転がって二度寝をしていた。私が台所に行こうとして居間に出て行くと……網戸、また開いてるしーッ! 
 ニャンタとニャンリンはたった今私の部屋にいたから問題ないとして、ニャンコはどこ? 探す、探す、いない……。またかよー。開いてた隙間は15cmくらいだったからニャンコは無理だと思うけど……。名前を呼ぶと、どこかから、にゃぁぁぁぁあ、と声がする。玄関脇の物置にしてるトイレか? ドアを開けてもいないし。名前を呼ぶとまた声がする。どこだー!
 と呼びながら庭に出てみたら、へっぴり腰で近付いてきた! やっぱり外に出てた! 抱き上げようとすると、それは怖いらしくて逃げるけど、足元に寄ってきて、私と一緒に家に入った。はぁ〜やれやれ。
 ニャンコ、好奇心で外に出てはみたものの、どうしていいかわからなくて怖くなったのかw まあとにかく無事に見つかってよかったよかった。網戸のノブは今日修理してもらう予定だったけど(そして無事修理完了)、ダンナー、わかってんだから気を付けてよねッ!(←自分を棚に上げて)



 さて、ニャンリンのほうだけど。
 網戸を閉め損ねてて、ニャンリンが出て行ってしまったか、と思ったとき、実はすごく複雑な気分だった。というのは、ここんとこニャンリンを見ていて、いろいろ(まあ薬のせいとかもあってつまらんことにウダウダしてたってのもあるだろうけど)考えてたとこだったから。


 ニャンリン、ニャンコとニャンタに比べて野良生活が長くて、来たときある程度オトナになってたからってのもあると思うけど、二匹からはやや距離を置いて遠慮しているようなところがある、とはすでに何度も書いた。いくつか、ここは私の場所! って決めてるらしい居場所があって(私の部屋の古い椅子のうえ、寝室のベッドサイドの籠、アイロン台の上など)、だいたいはそこらでおとなしく寝てる。
 でも夕方くらいに妙に活発になる時間帯があって、家のなかを走り回って壁に登ったりもする。私を見て、パッと身をひるがえし、しゃらららら〜〜♪と派手に首輪の鈴を鳴らしながら走って(タイルの上を横滑りするスピードで)別の部屋に逃げ込み、私が追いかけてくるか、物陰からおっきな目で期待を込めて見つめてたり。
 そんな天真爛漫なお転婆ぶりを見ていると、ニャンリンの本来の性格ってこっちなんだろうなあ、と思うわけ。ニャンタのように、生まれた家で、あるいは生まれて間もなくもらわれていった家で伸び伸びと育っていれば、きっとニャンタに負けない傍若無人な猫なんじゃないかと。
 でも、どうしたわけか家に戻れなくなって野良生活して、ゴミを漁って生き延びて、頭に接着剤みたいなの付けちゃったりもして、やっとうちに拾われても先住猫が二匹もいるわ、でかい犬はいるわ、イグアナには追いかけられるわ、何なのこの家ーッ! でもとにかく寝るところと食べるものがあるから、野良生活よりはマシだけど……。くらいに思ってるのかなあ。


 私のことは好いてくれてると思う。ダンナのことだってけっこう好きなんじゃないかな。キスされるのだけは(私でも)あんまり好きじゃないけど……。甘えるのも、このごろは夜寝る前は私のナデナデタイム! と思ってる節があって、私が寝る準備(シャワー歯磨き)してると、そのあいだにベッドサイドの籠に入って先回り。私がベッドに入ろうとすると、いやでもニャンリンが目に入るので、なでなで。でもそれだけでは物足りないから、私が横になったらベッドに移動して、しばらくなでなでを要求する。
 これがまた絶妙というか、私が無理のない姿勢で手を伸ばす場所に、自分の頭とか背中とかお腹とか、そのとき撫でてほしい箇所をぴったりとポジショニングするんだw 私の手の動きが緩慢になってきたら、ポジションチェンジ。でも、私が面倒そうな空気をチラッとでも漂わせると……すっと引き上げる。そんな空気、出さないように私も気を付けてるつもりなんだけどねえ。でも体のほうが同じ姿勢続きできつくなってきて、ちょっと向きを変えようとしただけでも、ニャンリンはそれを終了の合図と思ってしまうみたい。ニャンタがいったん添い寝したら、あとは引っぱろうが丸めようが転がそうがまったく目を覚まさないでされるがままなのとは大違い。
 そして……ニャンリンはたいてい、私の足元のほうに行って、そこに座って、もう真っ暗な窓の外を見つめていることが、よくあるのだ。
 そんなニャンリンを見て、そういえば、と思った。このブログに初めてニャンリンの写真を載せたのは、あの裏の家からこっちに向かってジャンプしてるところだった。そのときは、単に猫がいるー、と思って写真撮って、何となく載せただけだったけど、あとからニャンリンがうちの表側で野良生活始めて、ノミ除け首輪をしているところから、ふと思い出して過去写真を見たら、同じ首輪が写ってた。あれはニャンリンだったのか! とそのときやっと気付いた。
 ということは、ニャンリンが本来飼われていた家は、この方角にあるんだ……。もしかして、まだ覚えてるの? 帰りたいの? つい冒険が過ぎて、こっち側に来ちゃって戻れなくなって、それで仕方なくこっちで野良生活してて、今はうちに飼われてしまうことになったけど、前の家のこと思い出してるのかも。前の家で呼ばれてた名前、覚えてるのかなあ。夜中に恋しくなって、見つめちゃってるのか……?


 なんてことをね、夜半の感傷任せに考えていた矢先、網戸閉め損ね事件で、ニャンリンが出て行っちゃった!?と思ったわけ。今のニャンリンなら、ベンジャミンの木から屋根に登って、裏のコロニーに行くことができるかもしれない。元の家に帰ったら、本来の飼い主さんはちゃんとわかってくれる? そしたらびっくりするだろうなあ。涙なみだの再会だねえ。

 私の好きな猫小説の筆頭はポール・ギャリコの『ジェニイ』なんですが。

ジェニィ (新潮文庫)

ジェニィ (新潮文庫)

 これでも、ジェニイが元の飼い主の女の子と再会するシーンとかあるしねえ。
 というわけで、続きはまた明日。


 って書こうかと思ったんだけど、考えたら、もうそんなに続きなかったw
 そんな感傷まみれになりながら、どうしよう、とか考えてた。ダンナは外に出てニャンリンを必死で呼んでる。私も呼んでみたけど、家の前で叫んでてもしょうがない気がするし、だからってコロニーを廻る体力はないし。
 で、なーーんとなくだけど、もう一度家のなかを見てみよう、でも探した部屋にはぜったいいないって確信持てるくらい探した。となると……。


 開けてないはずのダンナの部屋。ドアを開けてみた。
 にゃぁ〜〜〜ん。ってニャンリン出てきたーーーーーーッ!


 まったくもう〜〜〜〜! もう、もうもうッ! 午前中に掃除のおばさんが動物の世話の手伝いに来てくれて、イグリンコのご飯を出したとき、たぶん気付かずにニャンリンを閉じ込めたんだと思う。だからいつも気を付けてねって言ってるのに、でもこの日に限ってはGJだったぜ!?
 かなり長時間閉じ込められてたニャンリン、ご飯に直行。そのあと、ぐりぐりうにうに、いっぱい抱っこしてやりました。あーーーー、やっぱりいなくなってなくてよかった!!!!!!


 そして、その日の晩からこっち、夜の愛撫に対するニャンリンの自信がぐっとついたような気がする。私がちょっと身動きしたくらいでは気にしなくなったし。昨晩なんか、途中でニャンタが割り込んできて、私の胸にずしずし載ってしばらくぐーるぐーる言ってからまたいなくなったんだけど、気付いたらニャンリンは私とダンナのあいだに寝そべっていて、ニャンタが来ても行っても平然としてた。
 すこーーーしずつでも、こうしてニャンリンが愛されてる自信を持ってくれるといいなあ。と改めて思った出来事でありました。