南国の隅っこ(旧)

元はてなダイアリーだった記事です。引っ越したのでデザインとか無視ですが、読めるだけでも……。

動物相談所

 ちょっと雑談。


 近所の友人AとSにはそれぞれ子供が二人ずついて、その子たちが近所の子供たちと仲良く遊んではうちに来て、カメやら猫やらと遊んでいく。なかには、私が初対面の子供もいるんだけど、猫と遊ぶ〜、と家の中に入ると、勝手を知っている子供らについて知らない子供たちも、どんどん寝室やら私の部屋やらに入っていっちゃって、まあちょっとなあ……と思うこともないでもないけどw
 でも基本的には、子供たちが動物に興味持ってくれるのはうれしいし、できる限りのことを教えて、動物とできるだけ正しい付き合いをしてほしいと思うので、まあその辺には目をつぶって。


 10歳の女の子が毛虫を平気で手に載せて愛でるようになって、お母さんが悲鳴を上げることもあるけど、まあ大丈夫な毛虫だから(問題はそこじゃない?)。
 そして、前に友人Sの家で保護したセンソントレのヒナ、ピーちゃん。この子は確かに死にかけていたので(まあそれも、家に連れ込んだからかもしれないけど)、お世話して、子供たちもかわいがっていた。
 それがしかし裏目に出たようで、子供たちがそれからすでに3回くらい、ヒナを拾ってきた。どれも、羽の生えそろった巣立ち雛。一度は私が旅先で、友人が写真を送ってきたので、元いたところに戻すよう伝えた。


 そして先週。また、午後、私を呼ぶ子供らの声がして、遊びに来たのかと思ったら、ヒナがいた、ってまたか!!! 毎度おなじみ、センソントレの巣立ち雛です。これはダメ、元いたところに戻しておいて、と追い返したんだが。
 半時間くらいして友人Sが、「うちの前で子供らが鳥のヒナをこんなところに載せようとしてるんだけど〜」と写真送ってきた。まだそのヒナいじってるんかッ、コラッ! 叱ったって〜、と友人が言うので、しょうがないなあ。そこまで出かける。
 子供は上は12歳くらいから下は5歳かな。5人くらい。そのヒナ、戻せって言ったでしょ! そんなとこにいたの? 違うでしょ。なんでおもちゃにしてるの! と怒ると、私じゃないの、この子が家に連れて帰ろうとか言いだして〜、などと責任のなすり合いが始まるw いちばん小さい子は、「私も〜、私も鳥ちゃん手に載せる〜」と騒ぐ。ダメ! これはおもちゃじゃありません!
 とにかく。全員、よく聞け。地肌が見えているヒナが落ちていたら、まず巣を探し、戻せるなら戻す。巣が見つからない場合は、育ててもよろしい。だけど、この子みたいに羽が生えそろっているヒナは、地面に落ちていても親鳥がどこかで見守っている。それなのに、人間がいじると親鳥はこの子を放棄してしまう。つまりあんたたちがこの子を殺してるんだよ?
 どのくらいわかってくれたか知らないが、とにかく、今すぐその子を元いたところに返してきなさい、と命令。私には人間の子供いないのに、よそのお子さんに偉そうに説教していいんか?w でもしょうがないよな〜。そのあと(子供らの一部の母親である)友人Sからスイカごちそうになりました。


 そんなことがあって、今日の夕方。なんか、左隣の奥さん(メキシコ人、ちょっと変わった人であまり交流はないが、さすがに最近は挨拶くらいはするようになってた)がうちにやってきた。門のとこで私を呼ぶので、なんでしょう、と出ていったら、「鳥、いりませんか?」って。
 は? って訊き返したら、公園に鳥のヒナが落ちてるんで、って……。ま〜た〜か〜よ〜w 
 そのヒナ、羽生えそろってました? と訊いたら、そろってるとのこと。で、こないだの子供たちへの説明を繰り返す。大丈夫です、いや、大丈夫じゃないかもだけど、それは自然の摂理だからしょうがないんで、そのままにしておいてください。


 もうな〜、なんかな〜、門に「動物よろず相談所」とかって看板出そうかなw ていうか、もう出てるようなもんかw


 思いだしてみれば、日本にいた子供時代にも、そこらへんからいろんな動物捕まえてきては飼ってたので(それが原因かどうかは知らないが)、ある日玄関先に金魚が数匹入った瓶が置かれてたこともあった。誰だ、こんなの置いてったのは? と言いながら、その瓶ではかわいそうだったので、すぐにプラケースに移してやった。が、じっくり見たら、みんなウロコがはがれてボロボロになってて、子供の浅知恵では(今みたいにすぐネットで検索とかもできなかったし)どうにも対処のしようがなくて、そのままその日のうちに死んじゃったり。あれも、あの家に置いといたら何とかしてくれるかも、とか近所の誰かが思ったんだったろうか?


(この話、前も書いてたらごめんなさい)メキシコシティで語学コースに通ってたころ、独り暮らしのおばさんの家に下宿してたんだが、その庭の植物に立派な毛虫がついてた。おばさんは枝ごとそれを取ってごみ箱に突っ込もうとしたので、あわてて止めて、枝ごともらった。かなり大きかったので、もうサナギになる直前だろうと思って。
 これ、もうすぐチョウ(むしろ蛾かもと思ったけど、スペイン語では大した違いはない)になるから、と言ったら、おばさん、「あんた〜! 生物学やってるんでしょ。何アホなこと言ってるの! こんなもんがチョウになるわけないでしょ!」って……。そのころの私のスペイン語はヘロヘロだったのと、そんなことを知らない人間がいるってのがニワカに信じられなくて、はぁ……と言うだけで毛虫を部屋に持ち帰り、袋に入れて置いといた。
 ちょっと出かけて帰ってきたら、そのおばさんが知りあいの小さい男の子に、「これを見てごらん、これがそのうちチョウになるんだよ」と教えてた……(・ω・) たぶん私がいないあいだに、誰かにそれホントだよと言われて納得したんだろうな。まあ説明の手間が省けて、しかもそれはサナギにはなったけど、薄暗い部屋に置いてて温度か何かが足りなかったのか、とうとう羽化しなかったので、面倒なことにならなくてよかったけど。


 まあドイツでも、いちばん仲の良かった友人が、「うちのお父さんが、クジラやイルカは哺乳類だって言っても信じてくれないの。生物学やってるあんたから言ってくれない?」と言ったことがあった。ドイツ人でも、そんなこと知らない人はいるんだ……。そしてそのお父さん、私が言っても納得してくれませんでした。
 今ならネットで授乳中の写真とか動画とか? 探して見せれば簡単なんだろうけどねえ……。


 そういうオトナを見ているから、今、この近所の子供たちがあれこれ動物について質問してきたら、できる限り答えてやりたい。子供だけじゃなく、大人でももちろん。ナナの子供たちの里親家族も、お父さんがペット初めてだと言って、とにかく何でも質問してくれて、せっせとスマホで写真撮って記録して、だからあの子たちは、メキシコ流放し飼いじゃなくてちゃんと完全室内飼いで飼ってもらえるだろう。本当に仔猫たち、いいとこもらわれていってよかったなあ。
 しかし、犬猫はともかく、鳥のヒナとかの野生動物は、子供らの好奇心とのバランスが難しいなあと。とにかくいろんな動物をいじり倒し、ときには殺しもしてきた自分の子供時代を思い返せば、絶滅危惧種でもない動物なら、あまり神経質にならずにいろいろいじらせることも大事かなとも思うし。かといって、毎度毎度巣立ち雛を拾ってくるのは、やっぱりいかんしねえ(先週のヒナを手に載せて放さなかった10歳の女の子は、去年猫を飼い始めたけど、トイレ掃除などの世話をしたのは初期だけで、今はお母さんに任せきりらしい。動物を飼うことの責任と覚悟をそろそろわかってほしい)。


 ま、社会人としてちゃんとやっていけるように育てなきゃいけない人間の子供と違って、動物は生涯責任を持つと言ったってたかが知れてるし(まあハチュは長生きするけど)、しつけに失敗しても自分が責任取って最後まで面倒見れば、他に被害は及ばないんだから、人間の子供育てるほうがよっぽど責任重大で大変だろうけどねッ!(・ω・)
(結論、そこかいw)