南国の隅っこ(旧)

元はてなダイアリーだった記事です。引っ越したのでデザインとか無視ですが、読めるだけでも……。

イグアナの攻撃性について(3)スペイン語圏の場合

 マンゴーで攻撃性の片鱗を見せたイグリンコに、本当にマンゴーのせいなんだろうか? と思って、でもマンゴーをふんだんに食べるイグアナはやっぱ現地くらいだよなあ、とスペイン語で「イグアナ マンゴー 攻撃的」と検索してみたんだけど。まあ当然? そんな関連性について書かれたところはまったくなかった。
 けど、それで引っかかった動画とか見てて思ったことを少しまとめておきます。


 まず昨日、イグアナについて検索してて見つけたスペイン語のページの記述がちょっと気になった。曰く、「馴れた」イグアナと「社会化された」イグアナがいる、という説。ページはこちら(スペイン語)。でもこれ、一部はグリーンイグアナソサイエティから翻訳したものと書いてあるので、だったら原文の英語もリンクしておいたほうが、読める人増えるよなーと思って探したんだけど、見つからず。見つけた人、ぜひ教えてください。


 で、この2つの区分は、イグアナの馴化レベルを示すものであると。

 「馴れた」イグアナとは。人間に見つめられても緊張せず、接触しても平気である。尻尾で叩くことも、背を持ち上げることもなく、息を吐くこともなく、噛みつかない(要するに、威嚇しないってことですね)。そして、居心地の良いテラリウムを所有していること。日常の世話をすることでこのレベルは到達できる。さらに車での移動に問題がないこと、他の動物たちと共存できること、首や頭、尻尾などを撫でることができ、手から餌を食べること、少なくとも家族である人間の手からは食べること。

 うーん、イグコとイグリンコはまあまあ「馴れた」レベルかなあ。車での移動はやったことないし、まだ完璧じゃないところもあるけど。てか、これが「馴れた」レベルなの? って感じ。いや、これでもう充分なんでは? と思いつつ読み進める。

 「社会化された」イグアナとは。「馴れた」イグアナができることに加え、人と一緒にいることが好きである。飼い主に撫でてほしくて近寄ってくる。家の人間や動物たちに興味を示し、様子を見るために近付いて上に乗ってみたり、並んで散歩したりする。人の上に乗って昼寝をすることも稀ではなく、耳に向けてくしゃみをする。より良い視界や日光浴の場所を求めて歩き回ることに恐れを感じない。

 とな。うううーむ、まあ言われてみれば……。イグリンコは寄ってくるし、寒けりゃイグコだってお腹のうえで昼寝するし、くしゃみは耳(なんで限定?)にはやられたことないけど、しょっちゅう頭のうえから降り注がれてるしな。でもまあ、こちらはまだまだかも、特にイグコ。

 すべてのイグアナは社会化することができる。それに必要な時間は、イグアナの年齢と、周囲の人間と動物の環境次第である。要は、動くものに対して警戒する本能を、少なくとも人間に対しては発動しないよう教えることである。そのためには、信頼を得ること、ひたすら正の印象を与えること、充分な忍耐と継続が必要である。
 1歳未満の若いイグアナなら、環境に適応させるのに2ヵ月、「馴れた」イグアナレベルまでに5ヵ月、「社会化された」イグアナレベルにさらに5ヵ月。正しくやれば。

 このあとには、非常に詳細に、ステップを踏んで馴らしていく方法が書いてあるけど、まあそのとおりに行くことのほうがたぶん少ないよねえ……。と思うので、略。でもまあ、イグコにこれを最初からやっていれば、今よりマシな関係ではあったかもね。


 という記事を読んだ昨日の今日。見つけたスペイン語で「攻撃的なイグアナ」という動画を見て、さらに唖然。

 ボビングしてるだけですやん! そりゃあ、挨拶のボビングじゃなく威嚇のボビングだとは思うけどさあ。

 もうひとつ、同じタイトルの動画。

 こちらはまあ……口を開けてるのは威嚇だろうし、でもこんなワシャワシャやられたらそりゃイヤやわ〜。だけど逆に、ドイツ語イグアナ本にも書いてあったけど、イグアナの攻撃を誘発しないためにはためらいを見せず確信をもって動くこと、ってのをこの人もある意味実践はしてるのかな。それでもイヤなもんはイヤ、と最後にイグアナが言ってる。
 だけどなー、英語圏の飼育イグアナの攻撃的なのとか、こんなレベルじゃないよね。日本のイグアナさんでも話に聞いたりしたなかでは、温室のガラスを突き破ったとかいうのまであったし……。この違いはどこから来るのだろう?
 たとえばこんな感じ。威嚇しまくってるよね。



 犬についても最近いろいろあって(うちのワンコが、じゃなくて主によその犬だけど)、シーザーミランってあんまり好きじゃなかったけど(俺様タイプが苦手)、ドイツ語で番組がいっぱいYoutubeにアップされているのを見たりしてて、思った。

 犬で、人間にガウガウやって噛みついたりするのは、飼われている犬ばかりだと思う。それも、何らかの理由でストレスが溜まっている、ごく一部の犬。つながれっぱなしとか、支配欲が強くて持て余してるとか、同居の犬や他の動物との関係がうまく行ってないとか、まあいろいろ。
 メキシコには野良犬がいっぱいいるけど、そのほとんどは物静かで、人間を見るとそっと姿を消すのが普通。よほど攻撃され追い詰められれば反撃もするかもしれないけど、まずはそうならないよう、ひっそりと生きてるよね。


 イグアナも、これだけ野良イグアナが街中にうじゃうじゃいて、それでも繁殖期だからって人間が襲われたとか犬や猫が噛まれたなんて話は聞いたことがない。もちろん私が知らないだけって可能性もあるけど。
 でもやっぱり、人間に対して激しく威嚇し、攻撃するイグアナってのは、飼育されて人間に対する遠慮や恐怖心ってものがないからなんだろうなと。
 イグリンコを捕まえたときも割とおとなしかったことについて、友人が「もしかして飼われてたイグアナが逃げたのかも」と言ったけど、それはないと思った。飼われてた個体ならむしろもっと暴れると思う。ぐったりと諦めた風情は、これまで見てきた野生のイグアナの行動と矛盾してなかった。水売りのおじさんが食べたいから捕まえてもいいですかって言ってうちの庭先で捕まえたトゲオイグアナ(遠い昔の話、まだイグアナもカメも飼ってなかったころ)も、捕まるまではドタバタとしてたけど、捕まえられたらもうぐったりだったし。


 しかしそのイグリンコも、飼われて人間への恐怖を忘れ、だんだんドミナントになって(なるのか?)自分のテリトリーとイグコという自分のメスを得たとき、人間や犬猫に対してどういう態度になるのか……。
 求愛行動と威嚇・攻撃を区別できるよう、特にイグコに対してはどちらである可能性もあるわけだから、怪我をさせないよう、次のシーズンまで何とかもう少し知識を蓄えたいものです。